久しぶりに、これは、と思うところをもつ本を読んだ。 自閉症という症状をもち、幼い頃から虐待を受け、 (これが自閉症に由来する症状かわからないが) 本当の自分以外の人格を使い分けて生きてきた主人公の自叙伝。 自分は、自閉症に関する知識はほとんどないのだが、 この主人公は、非常に賢い人で、記憶力は並外れたものを持っていたそうだし、 学校の成績も良かったと言う。 だからこそ、自閉症でありながら、分割された自分の人格と戦い、 社会と戦う力を持つことが出来たのだと思ったが、 そんな著者の体験より、 ~自閉症の人にとって、世の中の多くは、情報が多すぎで、 たとえば人の話しかけなども、本人は困惑してしまい、どう対応してよいかわからない という内容がかかれていたのだが、この部分には自分にも思い当たるところがあった。 自分は、自閉症ではないし、感情もある程度コントロールできているが、 コミュニケーションはあんまり上手じゃないなぁと自覚している。 うわっと、一気に人に話されると、とっさにどう返事をしていいのか困ることがあって、 そんな人と話すときは相当の注意を要する。 あと、疲れているときなどは、目に飛び込んでくる情報を意図的にカットしたくなることがある。 昔は、一人っきりの夜道を帰るときに、あまり目を開けないで、自分の足音だけに 耳を傾けながら家に帰るのが好きだった。 決して眠かったわけではないのだが、そんな時間が落ち着くのだ。 相方は、テレビがついていないと駄目だというが、 自分は、ラジオで十分なときがほとんどだ。 テレビは、画面の中の環境音も音にしているので、見ていなくても疲れるのだ。 相方は、テレビのほうがラジオより重くないから良いというのだが・・・ 現代は、情報多寡で、人は無意識のうちに余計な情報をカットして生活している。 でも、それをカットできない人もたくさんいるとしたら、、 いろんな意味で、世の中はもう少し静かになっても良いと思う。 「自閉症だったわたしへ」 Donna Williams (原著), 河野 万里子 (翻訳) 新潮社 ; ISBN: 4102156119
by stafy77
| 2005-05-11 23:55
| テーマ:今月の本
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