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虹(レインボウ)

あなたはどこまで食べられるか!? 世界のグミ | Excite エキサイト



虹はたまにお空に出てきても、すぐに消えてしまいます。
でも、昔はそうではありませんでした。
虹は今よりももっとはっきり長い間見ることが出来たし、
それに、食べることもできたんです。

虹の妖精は、とっても好奇心旺盛で長い間お空を散歩していましたし、
地上から手の届くところで上手に虹を切り取ると、それは
七色のグミとなって、とってもおいしいお菓子となりました。

そんなわけで、虹が空にかかると、
虹売りが、虹の下にやってきて、
「虹だよっ!虹だよっ! 美味しい虹はいかが?」
と、七色のグミを小さなハート型とか、熊の形にしたものを
次々と売っていくのでした。

足元にたくさんの人が集まるのを虹の妖精は楽しみにしていましたので、
自分の一部をわけてあげるなんて、平気だったのです。

だけれど、虹の妖精と虹売りの間には、とても大事な約束がありました。
それは、
「決して虹に登ってはいけない」
ということでした。

虹の上に人がいるときに虹が消えてしまいますと、
その上にいる人も一緒に消えてしまうからでした。

だから、虹売りは地上から届くところの虹だけを切り取り、
虹が消えそうになると、
「今日はもうおしまいです。次に虹が出たときに来てください」と
店じまいをするのでした。

さて、そんな虹売りを遠くで見ていた男がいました。
彼は、虹売りが店じまいをするのを見て、
「これは、効率の悪い商売だ。自分ならもっとうまくやってみせる!」と思いました。

彼が考えたのはこんなことでした。
・虹のグミは、端っこであんなに美味しいのだから、真ん中のあたりはもっと美味しいに違いない!
・虹が出ているときは、取れるだけとって虹が出ていないときに売ったらもっと儲かるに違いない!

そう、彼は虹と虹売りの約束を知らなかったのです。

次に虹が出たとき、彼は、こっそりと虹売りのいる反対側から虹を登り始めました。
虹の妖精も、虹売りが子供たちに呼んで聞かせている紙芝居を楽しんでいましたので、
反対側から登る男に気が付きませんでした。

男が虹の頂上付近にたどり着いたのは、虹売りが紙芝居を終えて、
あたりの人にグミを売り終わったころでした。
彼は、自分の足元をスコップで掘って、袋に詰め始めました。
思ったとおり、上のほうは端っことは違う格段の美味しさだったのです。

虹の妖精は虹売りに気をとられて、このことに気が付きませんでした。
お客さんがいなくなったので、そろそろ消えてもいいかな~。と思って
虹を消し始めてしまったのです。
ゆっくりと、虹が薄くなりはじめ、、
ようやく、虹の妖精は、頂上付近の男に気が付きました。
しかし、虹は消え始めると元に戻すことができません。

男はあわてて、虹を下り始めましたが、、、
その姿は虹とともに薄くなり、、
あとちょっとで地面にたどり着く、というそのときに、
とうとうふっと消えてなくなりました。

このことを悲しんだ虹の妖精は、もう、二度と
虹売りの前に姿をみせることはありませんでした。

でも、好奇心旺盛な虹の妖精。
今でも、触れないくらいうっすらと、私たちの前に
ちょっとだけ姿をみせてこちらを見ているようです。
by stafy77 | 2006-05-15 12:15 | ひとりごと
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